谷町・松屋町・長堀橋の歯医者、ささき歯科医院です。
ただ今連載中、「歯って虫歯になったらどうやって治すの?」その3、インレー・アンレー修復編へ移ります。
そもそも、インレー・アンレーとはなんぞや、という話になります。
最近、歯科における説明は本当に伝わっていない、と感じます。
「〇〇さん、今日は右上の前から4番目の歯の虫歯を取って薬をつめて固めてあります、次回かたどりをして、その次に歯が出来上がります。」
という風に説明するとして、これはカルテには、
「本日は〇〇さん、右上4番覆罩、次回形成印象、その次にインレーセット」
と表記するわけです。
患者さんは、(あぁあと2回で終わるんだな、なにやら歯が出来上がってくるらしい。)と思って頂いているわけですが、おそらく3,4年もすれば、(確かあの時に右上をやった気がするな。虫歯が大きかったような小さかったような。何回治療にかかったかもいまいち覚えてないなぁ)となってしまいます。
これは歯科特有の話かと思っています。
歯は健全な方で、親知らずを含めると32本あります。
その1本1本に行った処置を果たして覚えていられるか、というと、歯科医師でも怪しいのではないでしょうか。
事実私も何本かインレーが入っていますが、いつ処置したか、どれぐらい治療期間がかかったか、は全く覚えていません。
歯科医師ですらコレですから、患者さんは果たして治療の内容を覚えていられるのか、それは歯科医師の説明責任なのかそれとも口腔内のことをちゃんと把握するのはそもそも無理難題なのか。
結論はやはり、全員にかかりつけの歯医者が必要ということではないでしょうか。
治療の履歴、レントゲン写真、お口の中の写真が残っていて、それと今を比較することでその人の口の中の虫歯や歯周病の進行度合いがわかり、未来が予想できるのです。
昔と比較して虫歯が増えているなら虫歯傾向、歯周病やかみあわせもチェックしていくことで、よりトラブルの少ない歯を手に入れることができます。
話しがそれました。
インレー、アンレーとは何でしょうか。
(図1)
(図2)
例として二つあげていきます。
まず図1は、虫歯で歯の表面が大きくなくなってしまい、噛み合わせることができなくなっている状態です。
(ネットで探して来た画像です)
歯の表面はこのように山、谷があり、溝があります。
こういう形で食べ物を噛み砕くわけです。
さて、図1の場合この山、谷、溝が大きく無くなってしまっているため、歯の表面全部を補わなければなりません。
これを修復するのが、アンレーです。
Onlayと表現します、歯の上に載せるからOn、layは載っかるから、とかそういう風に感じてもらえればと思います。
ピンク色で囲ってある部分を金属なり、セラミックで修復物を製作し、歯の上に接着剤でのっけるわけです。
図2の場合は、少し話が変わります。
この歯の修復範囲はピンク色、もしくは青色の部分です。
修復は基本的にはコンポジットレジンか、インレー・アンレー、クラウンで行います。
基本的に歯と歯の間の虫歯はコンポジットレジンでは充填できません。
形を作りきることが難しく、形を作りきれないということは食べ物が停滞し、また虫歯を作ってしまいます。
達人、職人レベルで上手な人は可能ですが、おそらくダイレクトボンディングという施術名で、保険外で治療なさっていると思います。
さて、ダイレクトボンディングが可能な先生なら上記の青色の部分だけを削って修復することができますが、ほとんどの場合はピンク色で囲ってある部分を削って、インレーを装着します。
歯の中のほうに装着するからIn、載っかるからlay、あわせてインレー、と考えてもらえればOKです。
インレー、アンレーは保険適応・自費診療が選択可能な修復物です。
虫歯の範囲が小さくない場合はインレー、アンレーの出番です。
①虫歯を除去し、神経を保護する材質でいったん詰めます。
②2回目の来院で、歯型を取り、歯科技工士に作ってもらいます。
③3回目の来院で出来上がって来たインレー、アンレーをセットし、終了です。
色が金属が気になる、とか長持ちする材料で、となるとセラミック治療を行うことになります。
歯と歯の間から虫歯になってしまうと、修復範囲が大きくなります。
図1にしろ、図2にしろ、歯と歯の間に虫歯が入り込むと歯を大きく削り、時間がかかる処置をせざるを得なくなります。
予防するには、とにかく糸ようじ、デンタルフロスを使うことが大事です。
また、歯に亀裂が良く入る方だと、虫歯になりやすいです。
虫歯はどうやって治すのか第2弾でした、次回はクラウン修復へ移ります。
3月の診療カレンダーです。よろしくお願いいたします。