社会にイイね!を、社会からイイね!を、ささき歯科医院です。
今日は根管治療の投稿です。
術前のCT画像です。
病変が大きく、患者さんは腫れるとおっしゃっていました。
装着されていたかぶせものや人工物を外し、治療に臨みます。
囲いに対してラバーダムを設置し、根管治療を開始します。(https://gentaro-dental.com/archives/55)
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今回の根管治療は、感染根管治療に分類されるものです。
根管治療には大きく分けて2種類があります。初めてその根管にタッチする抜髄処置、以前に誰かが治療した根管を再度治療する感染根管治療(再根管治療とも呼びます)です。
治療の前に押さえておきたいポイントを患者さんに説明、共有します。
✨治癒が見込めそうかと考えたポイント
根管の形はある程度維持されており、根管の先端まで器具を通しさせすれば洗浄は可能のように見えた
🙅♂️治療に際して難しそうだと考えたポイント
画面向かって左側の根管の先端に確認できる白い物体が、以前治療に際して使用された歯科用のファイルだった場合、
ファイルを除去しないと先端まで器具を通すことができない。
病変がそれなりに大きく、歯周病にまで発展している(エンド・ペリオ病変と言います)
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レントゲン画像によって病変が小さくなる傾向にある、もしくは完全に消失するのを確認して精密根管治療を終了すると伝え、開始しました。
第2大臼歯は基本的には
・MB根
・DB根
・P根
と、3本の独立した根管が生えています。
しかし今回の第2大臼歯はそれら3本の根っこが融合しており、細かく繋がっておりました。歯科では桶状根と表現されます。
下顎の第2大臼歯では桶状根は良く見られ日常的に遭遇するのですが、上顎の桶状根は初めてでした。
といってもやることは同じです。感染根管治療の目的は”感染源を除去すること”です。根管内に感染源があるから、炎症が起きます。感染源を除去すれば、炎症は消えます。
根管治療には様々な流派があります。私は1回ないし2回で根管内を綺麗にできるとは考えていないため、何度かにわけて根管内の膿の出方を見ながら、根管内を※マイクロエキスカベーターで探索する方法で根管治療を行なっています。
治療経過
1回目
痛みを取るために噛み合わせ調整、薬の投与
2回目
かぶせものの除去、虫歯の除去、コンポジットレジンによる隔壁の作成
3回目
根管内の探索、マイクロエキスカベーション
4~7回目
根管内の探索、マイクロエキスカベーション
8回目 前回より1ヶ月あけて。
CTによる病変の確認
病変の縮小傾向、及び根管内の排膿の少なさを確認し、根管充填
ここまで4ヶ月経過
9回目、10回目
仮歯のセット
この時点でまだ病変は完全に消えてはいなかったので、仮歯で経過観察
3ヶ月経過、治療開始より8ヶ月経過
CT撮影、病変の完全な消退を確認しました。
本歯の作成を行い、治療の完了へ向かう。
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病変が大きい根管治療は根気がいることが多いですが、多くの場合は根管内の感染源を丁寧に取り除くことで治癒へ向かうことが多いように感じています。
精密根管治療大臼歯 88,000円
本歯(セラミックの臼歯、専門技工士製作) 132,000円
合計 220,000円
※マイクロエキスカベーター
私の根管治療において手放せない神器です。
日本の歯科医師が開発した治療器具で、根管内の治療に欠かせないものです。
根管治療のページをお調べになられる方なら一度は見るであろうnitiファイルですが、もちろん私も使用します。
nitiファイルは根管が図のように形が維持されているものなら最大限の力を発揮できます。
根管の形を崩さず、根管を無駄に傷つけることなく洗浄できるため、重宝されるわけです。
しかし何度か根管治療を繰り返している歯で根管の形が維持されていない場合、話が変わってきます。
nitiファイルを挿入しようにも、根管が大きく開いてしまっているので全く根管にタッチできません。
nitiファイルだけを使えば根管治療を完遂できる、というわけではないのです。